■■■私立の児童文化施設としてのビーアイ 2011
2011.9.3
清水 千佳
この5日間みなさんいろいろと学んでこられた事と思いますが、ビーアイは学校でもなく、保育所でもなく、学習塾とも違います。行政からお金をもらって運営しているわけではありません。民間の施設です。会員からの会費と関口の想いと働きで運営しているわけです。
(みなさんのような)次に子どもと接する人たちにもよりよく子どもと関わって欲しいので、こうして講義にも出かけますし、今日のような場を設けてみていただく、ということも時々やっています。
みなさん、ビーアイに入ってきてどんなふうに感じられました?
先日、子ども病院の映像を見せてもらったときに、子どもの住環境というお話があったかと思いますが、ビーアイはご覧のようにコンクリートの味気ないビルの1室です。でもそこを、子どもたちが「なんだかおもしろそう」とか「これ、さわっていいのかな、あそんでいいのかな」「なにかたのしいことがあるのかな」と思えるような心地よい空間にするために、私たちはあれこれ工夫や努力をしているわけなんですね。
たとえば、このハンバーガー。これもカリキュラムの中で作ったものですがマグネットがついていて、あっちにつけたり、こっちにつけたりすることが出来ます。子どもは「これはどうやらくっつくらしい」「ここにはくっつくかな」「こっちはどうだろう」と遊ぶうちにこの部屋の空気になじんでいくツールにもなっているわけです。
ビーアイには、2才の子どもから大人までのクラスがありますが、子ども、というより人間として一人一人にきちんと対応したいと考えています。みんな横並びにステップアップしていくように作られた公の施設ではそれはなかなか難しい事です。
ビーアイで大事にしているのは「自然」とどう出会うか?「人」とどう出会うか?「言葉」とどう出会うか?「もの」とどう出会うか?ということです。ビーアイに来る曜日はその子(人)ごとに決まっていて、週1回、平均月4回のワークショップを体験します。1週目は「昔の人はそのことをどう考え、暮らしていたのか、どんな道具を使ったのか」2週目は「それが今はどうなっているのか」そして3週目は「それをきみならどうしたいのか」というふうに1週目、2週目、3週目と展開していくかたちでカリキュラムを組んでいます。4週目は子ども達から出てきた「やりたいこと」をベースにみんなでやることを決めます。その月のテーマをさらに深めていった展開やバリエーションになることもあります。
たとえば春には「昔の人は食べられる草と食べられない草をどうやって見分けたのだろう?」と図鑑を見たり、話を聴いたりしたあと、西公園に「食べられる草」と「食べられない草」を見に行きました。そして「食べられる草」を持ち帰り、絵に描きます。絵が描けたら、その草をきれいに洗ってたまねぎや干しエビ、ちりめんじゃこなどを入れた小さいかき揚げにします。もちろん揚げるのも子ども達。中には油で揚げるなんて行為ははじめての子もいます。かき揚げができたら、最後はピンポン球大の小さいおむすびにくるりと海苔をまいて、その上にかき揚げをのせてパクリ。いわゆる天むすですが、これが最高においしいんですねー。自分で採ってきた草で、自分でつくったのですから格別のおいしさです。こんなうまいもんにヘンシンするんだ!というのはびっくり!なわけです。何個も何個も海苔やかき揚げがなくなるまで、人間のほうがテーブルの周りを回転する回転寿司みたいにすごい盛り上がりでした。これを聞きつけた大人のクラスは「四週目のフリースペースでぜひそれやりたい!」とやはり大盛り上がりの時間を過ごしたのでした。
春の草といってもいろいろあるわけで、これは多様なものの見方を身に着けてほしいということ、プロセスを大事にしたいということ、また部分ではなく全体を見渡せるようになってほしい、との思いからこのようなかたちでカリキュラムを組んでいます。
ワークショップが学校などの授業と違うのは誰かと何かをしながら自発的に気づいていくプロセスを重要視しているところです。学校ではやれそうでいてなかなか実施するのが難しいと思います。民間の私立の施設として存在しているビーアイだからできることのひとつかもしれません。
ともすると「作業」になってしまいがちな内容を、いかに子ども達(大人も)に自ら気づかせるか。「おおっ!」というようなオドロキや「あ、あった!見つけた!」というような発見、「ふうん、そうか!わかった」という自分自身の納得を積み重ね、体験をとおしてそのことを自分のものにしていってほしいと願っています。
知識で習得するものと違い、こうしたプロセスで体得していくものは体まるごとの理解となるので、その人の中にきちんと貯金というか蓄積されていくんですね。
みなさんがテキストとして手にしてくださった「子どものためのワークショップ」には具体例がたくさん載っていますので、保育園や子どもと関わる場所でファシリテーターをする立場だったら、どんな言葉で、どんな道具で、子ども達をその気にさせるか?考えながら、ぜひじっくりと読んでいただきたいと思います。
今日はありがとうございました。お疲れ様でした。
この文章は 先日、宮城学院女子大の集中講義の後で、チーズちゃんが
学生のために、話そうと用意したものでした。とっても素敵にまとまっていたんで、ブログにのせて見ていただくことにしました。いかが?
今日はジャズフェス、音楽の流れる街、公園はかっこいいね。まだ 音は聞こえてないけど・・・ビーアイはざぶとん山から飛び下りる1,2,3の声がすごくって。元気なビーアイが始まりましたよ。
2011.9.3
清水 千佳
この5日間みなさんいろいろと学んでこられた事と思いますが、ビーアイは学校でもなく、保育所でもなく、学習塾とも違います。行政からお金をもらって運営しているわけではありません。民間の施設です。会員からの会費と関口の想いと働きで運営しているわけです。
(みなさんのような)次に子どもと接する人たちにもよりよく子どもと関わって欲しいので、こうして講義にも出かけますし、今日のような場を設けてみていただく、ということも時々やっています。
みなさん、ビーアイに入ってきてどんなふうに感じられました?
先日、子ども病院の映像を見せてもらったときに、子どもの住環境というお話があったかと思いますが、ビーアイはご覧のようにコンクリートの味気ないビルの1室です。でもそこを、子どもたちが「なんだかおもしろそう」とか「これ、さわっていいのかな、あそんでいいのかな」「なにかたのしいことがあるのかな」と思えるような心地よい空間にするために、私たちはあれこれ工夫や努力をしているわけなんですね。
たとえば、このハンバーガー。これもカリキュラムの中で作ったものですがマグネットがついていて、あっちにつけたり、こっちにつけたりすることが出来ます。子どもは「これはどうやらくっつくらしい」「ここにはくっつくかな」「こっちはどうだろう」と遊ぶうちにこの部屋の空気になじんでいくツールにもなっているわけです。
ビーアイには、2才の子どもから大人までのクラスがありますが、子ども、というより人間として一人一人にきちんと対応したいと考えています。みんな横並びにステップアップしていくように作られた公の施設ではそれはなかなか難しい事です。
ビーアイで大事にしているのは「自然」とどう出会うか?「人」とどう出会うか?「言葉」とどう出会うか?「もの」とどう出会うか?ということです。ビーアイに来る曜日はその子(人)ごとに決まっていて、週1回、平均月4回のワークショップを体験します。1週目は「昔の人はそのことをどう考え、暮らしていたのか、どんな道具を使ったのか」2週目は「それが今はどうなっているのか」そして3週目は「それをきみならどうしたいのか」というふうに1週目、2週目、3週目と展開していくかたちでカリキュラムを組んでいます。4週目は子ども達から出てきた「やりたいこと」をベースにみんなでやることを決めます。その月のテーマをさらに深めていった展開やバリエーションになることもあります。
たとえば春には「昔の人は食べられる草と食べられない草をどうやって見分けたのだろう?」と図鑑を見たり、話を聴いたりしたあと、西公園に「食べられる草」と「食べられない草」を見に行きました。そして「食べられる草」を持ち帰り、絵に描きます。絵が描けたら、その草をきれいに洗ってたまねぎや干しエビ、ちりめんじゃこなどを入れた小さいかき揚げにします。もちろん揚げるのも子ども達。中には油で揚げるなんて行為ははじめての子もいます。かき揚げができたら、最後はピンポン球大の小さいおむすびにくるりと海苔をまいて、その上にかき揚げをのせてパクリ。いわゆる天むすですが、これが最高においしいんですねー。自分で採ってきた草で、自分でつくったのですから格別のおいしさです。こんなうまいもんにヘンシンするんだ!というのはびっくり!なわけです。何個も何個も海苔やかき揚げがなくなるまで、人間のほうがテーブルの周りを回転する回転寿司みたいにすごい盛り上がりでした。これを聞きつけた大人のクラスは「四週目のフリースペースでぜひそれやりたい!」とやはり大盛り上がりの時間を過ごしたのでした。
春の草といってもいろいろあるわけで、これは多様なものの見方を身に着けてほしいということ、プロセスを大事にしたいということ、また部分ではなく全体を見渡せるようになってほしい、との思いからこのようなかたちでカリキュラムを組んでいます。
ワークショップが学校などの授業と違うのは誰かと何かをしながら自発的に気づいていくプロセスを重要視しているところです。学校ではやれそうでいてなかなか実施するのが難しいと思います。民間の私立の施設として存在しているビーアイだからできることのひとつかもしれません。
ともすると「作業」になってしまいがちな内容を、いかに子ども達(大人も)に自ら気づかせるか。「おおっ!」というようなオドロキや「あ、あった!見つけた!」というような発見、「ふうん、そうか!わかった」という自分自身の納得を積み重ね、体験をとおしてそのことを自分のものにしていってほしいと願っています。
知識で習得するものと違い、こうしたプロセスで体得していくものは体まるごとの理解となるので、その人の中にきちんと貯金というか蓄積されていくんですね。
みなさんがテキストとして手にしてくださった「子どものためのワークショップ」には具体例がたくさん載っていますので、保育園や子どもと関わる場所でファシリテーターをする立場だったら、どんな言葉で、どんな道具で、子ども達をその気にさせるか?考えながら、ぜひじっくりと読んでいただきたいと思います。
今日はありがとうございました。お疲れ様でした。
この文章は 先日、宮城学院女子大の集中講義の後で、チーズちゃんが
学生のために、話そうと用意したものでした。とっても素敵にまとまっていたんで、ブログにのせて見ていただくことにしました。いかが?
今日はジャズフェス、音楽の流れる街、公園はかっこいいね。まだ 音は聞こえてないけど・・・ビーアイはざぶとん山から飛び下りる1,2,3の声がすごくって。元気なビーアイが始まりましたよ。
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